Tomoko’s Violin Diary 第一章バイオリン物語10

 Life

ーNECの実技試験

入学してすぐに大学院オーケストラの席決めオーディションがあった。

内容は コンチェルト(バイオリン協奏曲)2曲、オーケストラの初見試奏だ ったと思う。

コンチェルトは無事に終わり、初見試奏の楽譜を見せられる。

未だに何の曲だったのか皆目見当もつかないけれど、3連音譜がタイ(スラーじゃない)で繋がれている現代音楽の様なものだった。本当はロマンティックだったのかもしれないが、私が現代音楽の様に弾いてしまったのかもしれない。笑

大学時代、色んな演奏をお仕事でやっていた分、初見は結構早いハズだったのに、え??と思うほど難しかった。

試験官は大学院のオケの指揮を担当する リチャードホーニックさんというそれはそれは有名なバスーン(ファゴット)奏者だった。モントリオールオーケストラが演奏するストラヴィンスキー作曲、春の祭典のCD有名なソロは彼が演奏したものだと後々知り、本当に感動した。

後にボストンシンフォニー(BSO)のオーディションを受ける時、本番の前に何度もオーケストラスタディの部分を聴いてくれて本当に勉強になった。バイオリニストではない、プロオケの首席バスーン奏者、そして指揮者の目から見た感覚は新鮮なものがあり、音楽を大きく捕らえられて、弾きやすくなる。色んな人に聞いてもらう、オーディションの前に’’モックオーディション’’という’’モックカクテルの’’モックと一緒なのだが、オーディションと同じ状況を作り、擬似体験をするという会をほぼ必ず行うということをアメリカに来て初めて学んだ。

あんなに初見はよく弾けなかったのに、学内オーケストラの中ではコンサートマスターや、セカンド首席を弾く機会をいただけて、いろいろ勉強させて頂いた。

益子先生のマスタークラス門下生全員クライスラーの小品を演奏する

ーアメリカに住みたい

好きな潮田先生のレッスンは週に1、2回受けれるし、良いお友達にも恵まれて、カルテット(弦楽四重奏)のグループも出来て、有名なコーリッシュカルテット*のハンガリー人の

ヴィオリストユージンレイナ先生にも週1回指導してもらうことが出来た。

*https://en.wikipedia.org/wiki/Kolisch_Quartet

ユージンレイナ先生は、私に’’君はオーケストラに入っては行けない。ソロかカルテット奏者になりなさい’’と真剣な顔をしていつも言ってくれた。あの時、レイナ先生は80を過ぎていたと思う。レッスンはそれでもすごくパッションのある生き生きとしたレッスンだった。

一年に一度、弦楽四重奏の試験もあった。そこで審査をしてくれたビオラ奏者が後に所属することになるNew World Symphonyの紹介をしてくれる事になる。

潮田先生は

’’人生には素敵なご縁があるわよね。生きていると助けが必要だったり、助けてあげたいと思ったりすることがある。だからね、ネットワークは大事にしなさい。それは音楽の世界だけではなく、いろんな分野の人と繋がりなさい。’’  とおっしゃっていた。

その言葉で色んな方に合う様になり、色んな方に助けられ、現在の私がいると日々感謝している。

益子先生のレッスン
真ん中がユージンレイナ先生