コンクールでのアプローチ Hong Kong International Violin Competition

 Lesson

   

 

一昨日、昨日と2日間、Hong Kong Internationl Violin Competition とHong Kong Internatinal Chamber Competition に審査員として参加した。

小さい頃から何度か経験したこのコンクールというイベント。幼い頃は、正直コンクールが嫌でしかたなかった。人前で弾くのが怖くて、コンクール直前になると熱を出したり、病気になったりするほど。(笑)。ほぼ私にとっては拷問以外の何物でもなかった。

今回は逆の審査員という立場での参加。

以前、私もコンクールで色々な経験をしてるので、審査員席から第三者として聴いていろんな勉強をさせてもらいました。

これは今後コンクールを受ける皆さんの参考になればいいなと思ってます。

2日間でおよそ100名ほどの演奏を聴いた。

当たり前だけど、こんなに沢山いると全員の演奏を覚えてる事はできません。だから弾いてる間にメモをとるのです。あ!この子の演奏いいなあ、好きだなあと思う演奏の時は自然に次回はこの部分をこうしたらもっと良くなるとか将来の事をコメントしている事に自分でも気づきました。

これはオーケストラのオーディションでも同じ事、ファイナルとかに残ると、審査員がこのプレーヤーに入団して欲しいと思ったプレーヤーには、ここをもっとこうやって弾いてみてとか、その場でオーダーを出します。

逆にその他100名の大勢の中に埋もれてしまう演奏だと、音程の注意とかリズムの注意とか書き込んでますね。。

あ!この演奏好きと思った子達の演奏に共通するのは、曲全体の構成を把握していて、一つのストーリーを作り上げられているところ。スムーズな序奏から入り、クライマックスに向けて気持ちを高めていき、その後クールダウンして静かに終わる、という風に(曲によってアプローチ方は変わってきますが)バランスのとれた演奏ができているという所です。

’’知子さん、つまらない演奏をするから、音程とかを指摘されるのよ。

演奏が興味のあるものだったら音程を指摘される事は無いのよ!’’

と私の尊敬する師匠、故潮田益子先生はおっしゃっておられました。今回このコンクールを聴きながら本当にそうだなと納得した。

演奏が面白いとは? 曲に一つの物語がある。曲に流れがあり、方向性がある。その流れにブレが無い。という事でしょうか。

演奏するストーリーに説得力があれば、少々の音をミスしても聴いてる方はあまり気になら無いのですよ。

演奏中にミスしてその曲の流れを中断するからそのミスが目立つのです。だから曲の流れを少々のミスで止める事ほどもったい無い事は無いですね。

中にはテクニックに捕らわれすぎて、曲全体の把握をして無いために、聴いていて、この人は一体何を弾いてるのだろうか???と思った演奏もありました。

コンクールとかに出てしまうと、それ自体が大変なので、根本にあるどうしてあなたは音楽やってるの?という所を見失う所があります。テクニックが大事ではなく、音楽が大事なんです。

だから難しくて弾け無い所があっても、それだけに固執せず(もちろん克服するための練習はしつつ)、物語を作る事に集中して欲しいと思ったし、自分でも改めてそうしようと思った。

自分がその曲に興味を持たなければ、聴いてる人たちは共感できません。

今回のコンクールで一番強く思った事をまず書きました。

しばらくこの事についてブログで書こうと思ってます。

コンクールで頑張った演奏者の皆さん、お疲れさまでした!!

いろいろと書きましたが、ステージに立ったそれだけで、私はあなたたちは勝者だと思ってます。これからもいい音楽を創っていってくださいね。

応援してます。