自立する事の大切さ〜ワーグナーリングサイクルから学ぶ

 Performance

先日香港フィルは4年に渡るビッグプロジェクトワーグナー作曲のリングサイクルのコンサートとCDレコーディングを無事終了しました。

筋肉痛、疲労感は有りましたが、この様な達成感を得られたのは久々でした。

第4章の神々の黄昏は最長5時間演奏です。指揮者も演者も聴衆も気合いがないと休憩入れても6時間かかるオペラを一緒に過ごすことはできません。

自立する事の大切さと意味

このオペラで学んだことは、自立する事がいかに大切かという事でした。

オペラは指揮者、演者、スタッフ、レコーディングエンジニアなど総勢200名以上の人の努力で出来上がったものです。なのにどうして自立??と思われる方もいらっしゃるでしょう。こんな長時間のオペラはメンバーの協力無しに成り立ちません。だからこそ一人一人が自分のタスクを引き受けられる技量がないといけないのです。

当然コンサート中で間違うことはあります。そういう時は速やかに引き下がり(弾いている音量を削ること。実際は弾いてます。止まることもありますが、弾いた振りはしなければいけません。)、他のその部分に強い奏者に演奏を任せます。間違った方も助ける方も技量と経験がなければ出来ない技です。私はこれこそが本当の意味で自立している演奏者だと思います。(たまに経験の浅い人はそれを分からずに自己主張しすぎとか言いますが、だいたいそういう人は、周りが見えてないだけの時の方が多いです。笑。)

自立している人は、自分に何ができるか把握しているし、引き際もよく知っています。そして事が上手く運んでいる時もそうでない時もちゃんと仕事ができます。

プロの意味

オーケストラで作品を創って行くにはチームワークは欠かせません。このチームワークができる人は、自立していて自己タスクをこなせる技量と器を持っています。そしてそういう人は、他人のいい所もよく理解し、自分よりその人の方が事が上手く行くと思えば、その人に仕事を委ねる事ができます。

私はこういう方をプロと呼んでいます。


今回は音楽の面から自立するという事を書きましたが、これは人生設計にしても他のお仕事にしても同じ事ですよね。