Tomoko’s Violin Diary 第一章バイオリン物語13
ーボストンシンフォニーのオーディション
まずはレザメ(履歴書)の選考オーディションから始まる。
学生だった私は、第1次オーディションを受ける前に、更に課題を提出する様にと手紙が帰って来た。これが名の通ったオケに既に所属している人だと、レザメだけで次は、第一次オーディション、もっといいプロオケの奏者だと、ファイナルステージから招待されたりる。
この履歴書審査もオーケストラによってどこを重視するのかが違う。例えばボストンの場合、私はテープ審査からなのに、かの有名なフィラデルフィアオーケストラはテープ審査は免除で、第一次審査から受けさせてくれる招待状がきた。私の知り合いは、逆で、ボストンは第一次審査から(テープ審査免除)受けられて、フィラデルフィアはテープ提出を課せられていた。
ファイナルステージには必ずと言っていいほど、音楽監督、あの頃のボストンシンフォニー(略してBSO)であれば、あの、小澤征爾さんが審査員として加わる。
本題に戻ると、BSOから私にオーディションテープを提出する様にという手紙が来た。
それから、自分なりにできることはやり尽くし、晴れて第一次オーディションまではこじつけた。
が、オーディションテープの練習に時間を使い過ぎた😱!、とメリールーからも言われた。
課題を出されると猪突猛進してしまう癖が裏目にでた。
大抵のアメリカのオーケストラは、モーツァルトのコンツェルト3、4、5の中の一曲と、
ロマンティック時代のコンツェルトよりベートーベン、ブラームス、チャイコフスキーもしくはメンデルスゾーンの中から1曲をソロ曲として出されるが、
BSOはは、モーツァルトの4番とブラームスのコンツェルトそれぞれ1択づつである。(今はどうなのかお友達に確認しないと?だけれど)
それにオケスタが10曲程度出される。
そしてスクリーンオーディション*である。
*https://tanaka-tomoko.com/how-screen-audition-works/
このスクリーンオーディションは、本番前に一度でも良いのでリハーサル、モックオーディションで練習をして、どんな感じなのか経験しておくのを強くお勧めする。
ガイドをしてくれる人以外は誰もいないステージの上で、スクリーンに向かって弾くのに戸惑って、大変だった。
このスクリーンオーディションは、性別、国籍、年齢などの差別がないように始められた。
女性は靴の音ですぐ女性だとバレるので、スニーカーや、足音のしないものを履くように指導された。
ガイドをしてくれる人が順番になると練習室からステージまで道案内をしてくれる。
そして何を弾くかの順番を説明してくれる。
これはシカゴシンフォニーのオーディションでも同じだった。
そして、スクリーンの向こう側の審査員の人たちに向かって弾く。無論、どんな人たちなのか、何人いるのかも分からない。
コンチェルトは大抵定番のところで、審査員が
”Thank you, next please ’’
と言って切る。そしてオケスタに入る。
これも後から学んだことだけど、オケスタに入って、審査員が’’ここもうちょっと早く弾いてみて?’’とか注文つけ出したらオケの方も興味を示しているサインだ。
逆に早々にオケスタ2つもしくは3つで切られると、望み薄の時が多い。
自分の順番まで練習している間、他の練習室で他の受験者が練習をしているのが聞こえた。
ブラームスのコンチェルトが聞こえたんだけど、腰抜けるくらいうまかった。
「壁越しに聞くと誰でも上手に聞こえる」からと自分をなだめながらオーディションを受けたが、あとで聞けば、そのブラームスのコンチェルトが上手かった人はインディアナポリスで優勝した人だったらしい。…少なくとも私の耳は正しかった。ハハ😅
そして結果は案の定、1次で落ちた。
死ぬほど緊張した。
もうそれ以外覚えてなかった。というか、今はそれしか覚えていない。