Tomoko’s Violin Diary 第一章バイオリン物語19

 Life

ーチャリティーコンサート活動を突如始める 2011〜



香港での生活もすっかり馴染んで、オケ(オーケストラ)の仕事と後進の指導とに専念しているある日、香港フィルのツアーシーズンの途中で歳の離れた唯一の弟が働きすぎで亡くなった。
その連絡をもらった時に失礼な話、父かと思った。でも違った。
唐突で予想もしなかったこの不幸の知らせから家族全員普通の生活に戻るまでにどの位の時が必要なのだろうかと途方にくれた。
毎日悶々と過ごしていたある日、2011年の東日本大震災が起こる。
ウチの弟はお葬式の時に初めて知った話だけど、悩み苦しんだ人たちのお話を聞いて癒す事に専念していたらしい。また地元熊本の安泰に努めたいと弟のお友達から聞いた。
全く知らなかった弟の生涯。
それが脳裏に浮かんだかどうなのか、今では分からないけど、突如、香港フィルのコンサートの帰りのバスの中で、チャリティーコンサートをやると宣言した。
それから香港フィルのメンバーや、香港にいる様々な方々の支援によってそれは意味のあるコンサートを開くことができた。
その時に初めて、スタッフ、演奏者、観客が一体となりコンサートを作る感動を体験した。会場にいる全ての人が同じ目的で、必死に生きようとしている被災者にエールを送る。
もし生きてる私にできることがあれば、これはその一つなのでは無いかなと確信した。
それから、チャリティー活動が始まり、掛け替えのない友人たちに巡り合え、賛同してくれる同志に巡り合う。

東日本大震災チャリティーコンサート
初めて企画した東日本大震災チャリティーコンサート