Tomoko’s Violin Diary 第一章バイオリン物語2

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ー初めてのコンクール


一緒のバイオリン教室で習っている2つ上の子がとても上手で、その子がコンクールに出るという。どこでそういう話になったのか全くわからないが、気付いたら私も出ることになっていた。
熊日日日新聞主催の学生音楽コンクールという名前だったと思う。
私がコンクールに出ると、バイオリンを真面目に練習するし、長続きもするだろうという先生の思惑だったそうな。
私が覚えてるのは、1回目のコンクールで3位、2回目で1位を頂いた。
というとあっさりしてるが、小学生になると、緊張をいつの間にか覚え、本番前から嘘じゃない高熱を出したり、大変だった。両親の期待が鰻登りに増していき、その期待が象のように重く私にのしかかってくる。この頃からもうリカちゃん人形じゃ済まされなくなっていた。
出来れば、’’私のリカちゃん人形あげるから、コンクールに出なくてもいい?’’と親に聞きたかったが、怒られるのが怖くて言えなかった?。昔は可愛かったんだなあ。笑

ー大失敗

晴れて1位をとったお披露目会みたいなものを先生が開いてくれた。先生も両親も満足げである。私の気だけがワンランクアップしてマンモスが体に乗ってるように重い。

’’なんでこんなに人前で弾かなきゃならないんだよぉ〜’’と穴ほって叫びたかった。

いざ自分の番が来る時に、MCが入った。’’この前のコンクールで賞をとって、いかに素晴らしい演奏をされるか見てみましょう’’みたいな事を言われたんだと思う。覚えてないけど。

はっきり言って、ありがた迷惑だった。既にコンクールでの緊張を忘れられない私にとって、人前で弾くことから逃げたかったし、自分は親や先生や周りがいうほどイケてないのも分かっていた。おだてられるとさらに萎えてくる現実的な子供だった。やっぱ可愛くない笑。

嫌だなぁと思いながらそのMCを聞いてたら、弾く時間になった。

頭の中が整理されないまま弾いたら、

’’シーン’’…

途中で止まってしまった。皆さんの前で。

見えてる観客の姿がズームで操作するように遠のいていき、足は冷たく凍っていた。

…これが音大に入るまで苦痛の演奏人生の幕開けだった。

初めてのメンタルブロック*である。

       *メンタルブロックとは自己否定的な思い込みを作る壁のこと。

小さな小さなコンクールのお披露目会での失敗。

今だったら克服できた痛みなのにと悔やんでも後のまつり。