Tomoko’s Violin Diary 第一章バイオリン物語8

 Life

ーオーケストラのオーディション(席決めオーディション)

翌日くらいにアスペンオーケストラのseating audition,オーケストラでどこに座るのかという席を決めるオーディションがあった。

昔のことなので、ハッキリは覚えていない。ソロ曲(シベリウスのコンツェルト)を弾いたと思う。そしてオーケストラスタディー、略してオケスタ(orchestra excerpts)の初見テストがあった。ベートーベン交響曲3番エロイカからの抜粋だった。(難しい?、今でもベートーベンの3番は難しい)

このオーディションを聞く人は当たり前だけど、外人。それだけでも弾く前は無茶苦茶緊張した。英語で何か質問されたらどうしよう?など、かなりビクビクしてたと思う。それに日本から参加したバイオリンの方々と一緒に受けたので、あまり劣った演奏は出来ないなとか余計なことばかり考えてたら、変に萎縮し他演奏になってしまった。’’何のために遠路遥々アメリカまで来たのか?’’とかもう少し前向きなことを考えられなかったものかと今更ながら情けなくなる。

ーオーケストラのリハーサル開始

うろ覚えだけど、そのオケにはプロの講師陣も参加してた様な気がする。他の人が弾けてるからか、弾きやすいことにびっくりした。よく観察すると、テクニックとかはそんなにとびきり上手いわけでもないのにソツがない。というのが感想だった。そして日本人の様にギスギス硬くなく、みんなフレンドリーだ。景色と人との触れ合いと音楽に開放感が増してくるのを体感した。

オケのプログラムの中には必ずと言って良いほど、ソリストが出てくる協奏曲を演奏する。一人はビオラ奏者がベルリオーズのイタリアのハロルドを演奏。

ここアスペンは山の中なので、天候も急に変わる。

おじいちゃんソリストがソロを弾いてる時に、ババーンと雷鳴が轟き、ソリストがビクッと弾きながら飛び上がってたのがものすごく印象的だった。さすがソロを中断しないところがプロ。このテントの中でやる野外コンサートで、雷は常連さんの様で、最近の記事を見て笑った。参考までに。

アスペン音楽祭、雷

もう一人のソリストは若い女性がエルガーのヴァイオリン協奏曲を演奏。アメリカだなあ!!と実感するスピード感のある洗練された演奏だった。

日本のオーケストラでもお仕事をしていたが、音楽が3Dで聞こえたのはここ、アスペンに来てからだ。ダイナミックさが違う。今日でも日本のソツのない小綺麗にまとまっている音楽はいい意味でもそうでない意味でもとりあげられる。音楽が息を吹き返し踊りだす様なイメージがある。弾いてて実際に楽しいと思った。

アスペンでは各楽器の個人レッスンもある。それに世界各国で活躍しているソリストや、カルテット(弦楽四重奏団)がコンサートを披露する。その中に、ジュリアード音楽院で有名なドロシーディレイのマスタークラスや、コンクールもあり、本当に色んな勉強をさせてもらった。

1ヶ月以上素敵な教授人や、プロの音楽家を目指す同志と同じ場所で過ごし、色んなお話を聴いて、美味しいものを一緒に食べたりして、アメリカ生活のミニ体験をした。沢山ハイキングも、サイクリングも、ビリヤードも楽しんだ。

このアスペン音楽祭で強く心に残ったことは、アメリカで学んだ学生たちの演奏は日本で勉強をした学生に比べるとテクニック的なものは劣るかもしれない。しかし、彼らの強いところは、自分の良さを十分に把握していて、そこを人前で大胆に表現できるスキルを持っているという所だ。そうすると、音楽が息を吹き返した様に踊り出す。聞いてて楽しいし、ソツ無く弾いている子よりずっと魅力的なのだ。音楽って本当はそういうものだよねとシンプルだけど大切なことを学んだ。

ここでアメリカ留学を100パーセント決意した。