Tomoko`s Violin Diary 第一章ヴァイオリン物語23

 Uncategorized

バイオリンレッスンについて


昨年あるキッカケで’’バイオリンを教えると言うことはどういう事なのか?’’という事を再思考したくなり、その時に教えていた生徒が巣立つのを見送った後に、一度思い切って新規レッスンをお休みした。未来に向かっていく若者たちを混乱させないためにも必要だと思ったからだ。
バイオリンを趣味で続けるにしてもプロになる為に練習していくにしても、もし達成したい目標があるのであれば’’耳にタコ’’が出来るくらい説明してきた’’継続練習’’が一番大切だということは揺るがないと思う。

今回は大学受験を控えた生徒の例をとってみた。
大学進学のために練習時間が取れないけれど、受験前にどうしても’’バイオリンのグレードテストでディプロマを取りたい’’という生徒は少なくない。なぜなら進学のためにこのバイオリンテストの結果は有利になるからだそうだ。ご両親の気持ちも生徒の気持ちも理解できるので、できる限りのことはしてみようと思ったが、継続練習を怠った先に明るい答えは出ないというはっきりとした結果が何度もでる。

ここで架空の生徒の例を2つあげてみる。

ケース1:
日課を作るのが上手い生徒の例                                大事な学校の試験があるにも関わらず、毎日練習の時間を組み込んで、レッスンにも飄々と来ていた生徒は、受験前に計画通りグレードテストに合格し、今は受験のため時間を費やしている。バイオリンのテストを受ける練習中も学校の海外修学旅行などは行っていた。この生徒は学校のテストが大変で胃が痛くなるくらいプレッシャーを感じると言いながらもバイオリンのレッスンには試験の前にも来ていた。学校のテスト勉強だけより、バイオリンの練習をすると、いい気分転換になるという。日課を作るのと、気分の切り替えが上手い生徒だ。

ケース2:

計画表をつくらず、練習をまとめて集中的にする例
数年真面目にレッスンを受け、親子ともども頑張っていたケース。取り組む姿は素晴らしいものであった。独特な美しい音を出す生徒だ。
問題点は、学校の試験や家族旅行が大事な時期に入り、継続練習をたびたび断念。その結果、何度もグレードテストを受ける時期を逃してしまった。後もう少しというところで練習を断念するので、また一からやり直しというパターン。気分の切り替えを学ぶといい生徒だ。

レッスンの運び方について一年考えてもやはり、答えは同じだった。
まとめていっぺんに練習するより、日々15分でも続ける方が結果は出やすい。個人差はあるにしても根本は変わらない。
バイオリニスト・ハイフェッツは必ず毎日決まった時間に練習時間をとり、その間は誰も邪魔することはできなかったという例がよくこの本質を語っている。
私は生徒の良いところを見つけ、最大限にそこを伸ばすというアドバイザー的存在であり、本人の継続練習なしに結果は出ない。
ある人が、’’私たちはミュージシャンであって、マジシャンではない’’と冗談まじりに言っていたが、これは真相をついている。
そろそろレッスンを再開しようと思うけれど、私の課題はやはり生徒と、ご両親とのコミュニケーションにあると思う。
どんなに大変な時期であっても継続的な練習なしに達成は難しい。何かを達成したいという願いが強いのであれば、工夫して継続練習ができる時間割を作れるようにならなければならないという事を厳しいようだけれど相手に伝わるまでガイドしていくべきだと再確認した。

大学入試の内申点にこのバイオリンテストの結果が考慮されるということは、その人の計画性と行動力がどのようなものかが見えるからかもしれないと思う。
この続きはまた次回。